August 2023アーカイブ

August 30, 2023

上田尚宏個展「それはこれ、」が WATOWA GALLERY にて9月10日より開催

この度、アートプロジェクト・コレクティブ WATOWA GALLERY は、新たな「物質と人間」の表現を提示する、新進作家・上田尚宏の個展「それはこれ、」を2023年9月10日(日)から9月19日(火)まで開催いたします。

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主催者より


上田尚宏は、東京藝術大学大学院で高山登氏に師事しました。大学院修了後、2011年に渡独。日本のもの派や近現代のドイツミニマリズムに大きな影響を受けています。彼は主に時間や空間、物理的な環境変化についての考察から現代社会の課題を提起し、領域横断を意識した制作活動を実践してきました。本展覧会では、2019年に帰国した後の初の個展として、これまでの日本とヨーロッパでの制作活動が凝縮された新作の一部をご覧いただけます。

本展「それはこれ、」は、物質自体の本質的な自己否定、または物質がメディアとして環境との相互作用を示すアンチ・テーゼを明示しています。言い換えれば、観察者と周囲の環境との相互作用によって流動する「人間と物質」という関係性が、むしろそれぞれの個々の自己否定を浮き彫りにしています。こうした視点から、「それはこれ」が「これはそれ」となり得るのか、という問いも投げかけられます。
上田の創作は、もの派とミニマリズムを融合させ、一貫性を保ちながら新たな表現を生み出しています。彼によると、物質の本質的な追求は、ある意味で物質とその環境との限界的な関係性を映し出す表現であると言えます。

現在、情報化をもたらす非物質空間の肥大によって、我々がどのように「ミクロ」から「マクロ」までの物質を捉えるべきか、依然として未解決の課題となっています。本展では、現代の錬金術師である上田尚宏が、新たな物質と環境の関係性をもたらす魔法の扉を開いてくれます。


作家プロフィール


上田尚宏_作家写真.jpg 上田 尚宏|Takahiro Ueda

2010年、東京藝術大学先端芸術表現修了。2011年より文化庁新進芸術家海外研修制度、吉野石膏美術振興財団、DAAD(ドイツ学術交流会)からの助成を受け渡独。2019年に帰国後は東京を拠点に活動している。 主な展覧会に、The Still Point -まわる世界の静止点(kudan house, 東京, 2021)、SCAI 30th Anniversary Exhibition 「アースライト―SFによる抽象の試み」(駒込倉庫, 東京, 2019)、Temporal Measures(white rainbow, ロンドン, 2014)、Land Politics (Valletta Contemporary, マルタ, 2019)、Betwixt and Between(Galerie Tore Suessbier, ベルリン, 2013)、第14回岡本太郎現代芸術賞(川崎市岡本太郎美術館, 神奈川, 2011)など。

HP: https://takahiroueda.com

IG: https://www.instagram.com/tkhrd__/ (@ tkhrd__)

(Photo by Shingo Kanagawa)


作家ステートメント


ぼんやり眺めていると微妙な違いが浮かび上がって見えてくる、
もしくは最初から違いがはっきりと一瞥できる。
私たちの網膜は微細な違いを感受できるほど、精度が高い。
しかし精密に同じ設計を施されたロボットではないので、
目に映る景色は、実に人の数だけ存在する。
そう考えると、私の目が捉えるこの"違い"は、
本当に"違い"としてあるのだろうか。
誰かにとっては"同じ"になり得てしまうのだろうか。
網膜が受け取るビジョンを厳密に他者と共有するための方法を、
私たちは知らない。

製造や流通の問題により差が生じているにも関わらず、
便宜上、同じ名前が付けられた工業製品を並べてみる。
隣り合うそれらを「違う」と言えばいいのか、
はたまた「同じ」と言えばいいのか。
もうこうなれば、それはこれ、これはそれ。

上田 尚宏


開催概要


タイトル:「それはこれ、」
会  期:2023年9月10日(日)~ 9月19日(火)12:00 - 19:00
     ※ 9月13日(水)、 9月14日(木)定休日
主  催:WATOWA GALLERY
会  場:elephant STUDIO (東京都渋谷区渋谷2-7-4 1F) 
入  場:無料
イベントページ:http://www.watowa.jp/news/2023/08/Is-this-it?.html
HP:http://watowagallery.com
Instagram:@watowagallery
CONTACT: gallery@watowa.jp (メールのみ)

WATOWA ART AWARD 2023 追加審査員2名を発表!

審査員には先行して発表された12名に加え、KANA KAWANISHI Gallery 河西 香奈、アーティスト 高橋 理子 が決定しました。


審査員 13
河西 香奈

KANA KAWANISHI GALLERY代表

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■ Profile
幼少期をロンドンで過ごした後、フォーダム大学(NY)へ学部交換留学、日本女子大学家政学部被服学科西洋服飾史研究室卒業。
2006年より洋書編集に携わり、近年担当した書籍に「ANREALAGE: A&Z」(2021年秋・Rizzoli刊) など。
アーティストマネジメント/編集事務所、展覧会企画財団を経て、2014年にKANA KAWANISHI ART OFFICE設立、2015年にKANA KAWANISHI GALLERY設立。
2022年より日比谷OKUROJIアートフェア/フォトフェアのオーガナイザーを務める。
Artnet(米国)より「7 power players transforming tokyo art market」に選出される(2022年)。

IG:
@kanakawanishigallery
@kanakawanishi


審査員 14
高橋 理子

アーティスト /博士 /武蔵野美術大学教授

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■ Profile
東京藝術大学で染織を中心に伝統工芸を学ぶ。2006年、株式会社ヒロコレッジ(現・ 高橋理子株式会社)設立。 2008年、東京藝術大学大学院博士後期課程を修了し、博士号(美術)を取得。着物を表現媒体としたアートワ ークのほか、自身のブランドHIROCOLEDGEで日本各地の職人とものづくりを行う。九重部屋や黄金湯などのブランディング、adidasとのグローバルコラボレーション、 東京五輪ゴルフ米国代表公式ユニフォームなど、国内外のプロジェクトも数多く手がける。2024年4月には、イケアとのグローバルコラボレーションローンチが控える。2019年、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館に作品が永久収蔵。2021年、武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科教授就任。

IG:
@takahashihirokoofficial


下記より詳細をご確認の上、ふるってご応募ください。多くの方のご参加をお待ちしております。

↓↓↓↓

http://www.watowa.jp/news/2023/02/watowa-art-award-2023.html

August 3, 2023

KASEKI POP 2023〜SUMMER TIME〜 / TOKYO POP by KASEKI CIDER

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この度 WATOWA GALLERY は、作家かせきさいだぁによる個展KASEKI POP 2023〜SUMMER TIME〜並びに、グループ展TOKYO POP by KASEKI CIDERを、elephant STUDIOにて2023年8月19日(土)から9月3日(日)まで開催いたします。

Statement


かせきさいだぁのポップアート

― 作品に耳を澄ませれば、時代の音が聞こえてくるる                         

かせきさいだぁは日本を代表するヒップホップアーティストであり、あるときは漫画家、文筆家、そして現代アーティストといくつもの多彩な顔を持つ。彼の描く作品は、すっきりと無駄のない構図や透明感のある素直な色調が印象的で、まるで軽快なシティポップを聴いているような心地よさがある。

代表的な名画シリーズでは、モナリザやゴッホのひまわり、モネの水連といった誰もが知る名画を、かせきさいだぁらしいミニマルで可愛らしい姿に描き直している。かせきさいだぁ流に言えば "名画のサンプリング" だ。既存の音源の一部を引用して再構築するヒップホップにおけるサンプリングと、名画を記号的に引用する表現手法には通じるものがある。そこには名画へのリスペクトや親しみ、愛着があり、そうした気持ちを他者と分け合いたいという高い共感性がある。好きなものを友達とシェアしたいという気持ちや、現実世界の煩雑さに抵抗するように軽さや明るさや可愛らしさを求める今の時代のムードは、かせきさいだぁの世界観と驚くほどマッチしている。コンセプトの壁を超えるためにインテリジェンスで武装しないと到達できないのがいわゆる現代アートの姿だとするなら、かせきさいだぁのアートは誰にとっても親しみやすく居心地がいい。誰も撥ねつけない大らかな作風は、いつまでも眺めていたくなる幸福感に繋がっている。

しかし、彼の持ち味はそうしたポップさや親しみやすさだけではない。一見、CGのように滑らかで正確無比に見える作品を間近で見ると、手描き独特の線のゆがみや色の塗り重ねの跡があり、彼が正真正銘の絵描きなのだということがよくわかる。手で描くことでしか成しえない人間的なゆらぎは、モチーフに生命力を与え、作品に時間の流れを生む。そうして堆積していった膨大な情報量はある種の難しさでもあるのだが、「人間は情報量の多さこそを面白さと捉える」ということをかせきさいだぁは熟知している。

ミュージシャンとして活動するより以前、彼はゲーム会社のグラフィック担当として、ゲームのキャラクターや背景を制作していたのだという。フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》の瞳がパックマンを象った作品があるが、ゲームクリエーターのキャリアが分かるとその遊び心にも納得だ。使える色数も少ない黎明期のゲームグラフィックの世界にいたからこそ、手描きの良さや画面に込められた情報量が人間に与える影響を深く理解している。長く画面を見続けたいという欲求は、人間が対象を面白いと感じる感覚とリンクしているのだから。分かりやすさと複雑さの絶妙なバランスこそが、見る者の心をひきつけてやまないかせきさいだぁの作品の魅力になっている。

沓名美和

Artists profile


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かせきさいだぁ

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1995年、1st アルバム『かせきさいだぁ』でデビュー。現在までオリジナル・アルバムを6枚リリース 。ポップ・ミュージックの歌詞を引用したラップで注目を集め、今日では日本のヒップホップ界で強い影響力のあるミュージシャンの一人として知られているミュージシャン、ラッパーとして活動する一方、イラストレーター・漫画家・文筆家・作詞家とジャンルを問わず幅広く活躍するその姿はまさにヒップホップ・ アーティスト。アクリルやマーカーを用い 、シルバーの背景、ポップな作風が徴の作品を手がけている。絵画作品では、歴史的名作をオマージュした「名画シリーズ」が近年注目を集めている。

2021年よりWATOWA GALLERYの所属作家としてARTIST活動を精力的に開始し、同年9月には初めての大規模な個展「かせき POP!」を開催し話題になる。

 

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ⓒガジェット通信

望月ミネタロウ

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神奈川県横浜生まれ。'84年講談社ちばてつや賞優秀新人賞を受賞し、'85年「ヤングマガジン」で『バタアシ金魚』で連載デビュー。主な作品に『バイクメ~ン』『お茶の間』『座敷女』『鮫肌男と桃尻女』『ドラゴンヘッド』『万祝』『東京怪童』『ちいさこべえ』『犬ヶ島』『没有漫画、没有人生』などがある。

『ドラゴンヘッド』で第21回(1997年)講談社漫画賞、第4回(2000年)手塚治虫文化賞マンガ優秀賞受賞。『ちいさこべえ』で第17回(2013年) 文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞、France BD Critics Association (ACBD) "2016 Best Asia BD" award、アングレーム国際漫画祭シリーズ賞受賞(2017年)。

 

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白根ゆたんぽ

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1968年埼玉生まれ。東京在住。イラストレーターとして広告やWebコンテンツ、企業コラボなど多くの仕事に携わる。最近ではDAISO50周年記念47都道府県トートバッグへのイラスト提供、東急歌舞伎町タワー LIFE STYLE HOTEL EVAへの作品提供など。クライアントワークの他、年に数回の個展、企画展や海外でのアートフェア、グループ展への参加も行う。

instagram: @yuroom

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