October 2022アーカイブ

October 20, 2022

現代の風潮を独自の視点で奇々怪々に描き出す画家・因幡都頼による個展『META - UNIVERSE / 目他 - ユニバース』を WATOWA GALLERY プロデュースにより開催

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2022 年 11 月 4 日(金)〜13 日(日)の期間中、アートプロジェクトプロデュース集団『WATOWA GALLERY(ワトワギャラリー)』プロデュースの下、アーティスト・因幡都頼による個展『META - UNIVERSE / 目他 - ユニバース』を、渋谷二丁目のオルタナティブスペース『elephant STUDIO(エレファントスタジオ)』にて開催いたします。

因幡都頼は、現代の流行や風潮をモチーフに、その時代固有の概念によって生まれる認識の範囲外を絵画作品として制作するアーティスト。武蔵野美術大学にて日本画を学び 2012 年に卒業後、全国各地で個展の開催やグループ展への参加を行うなど、精力的に活動を行います。

本展では、2022 年に入選した『第 25 回 岡本太郎現代芸術賞』で展示された大型作品を含む、絵巻物のように連なる大作『幸辛物語(こうしんものがたり)』から、新作『騒(そう)』『的(まと)』を発表。因幡作品の特徴でもある、仮想現実=メタバースのような空間と、 "他人"の"目線(視点)"を通した俯瞰の構図が生み出す宇宙的な世界観は、まさに"目他(メタ)・ユニバース"と言えます。

独自の視点で描き出される、因幡都頼の奇々怪々な宇宙を、ぜひご覧ください。




プロフィール



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因幡 都頼  Inaba Torai

2012 武蔵野美術大学造形学部日本画学科卒業
1988 北海道生まれ

Instagram @toraiinaba
Twitter  @torai_inaba
SUZURI  https://suzuri.jp/inaba-torai





展示作品一例:


3.jpg のコピー.jpg『幸辛物語 / 騒』

4.jpg のコピー.jpg『幸辛物語 / 的』

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主催者より


因幡都頼が描く奇々怪々の世界は、スーツ姿のサラリーマンや制服姿の女子高生のような現実を強く喚起させる記号に満ちているが、『コロナおじさん』のように擬人化されたモチ ーフ、さらには河童といった空想上の生き物も違和感なく同居している。そう、眼下で繰り広げられるのは多層的な世界の住人による現実世界のパロディである。

その群像劇は一貫して俯瞰の構図で描かれ、瞬時にいくつかの既成イメージを連想させるだろう。例えば中世絵巻や近世初期風俗画など、日本の古典絵画の記憶がこだましている。あるいは西洋のヒエロニムス・ボスや子どものころに熱中した絵本『ウォーリーを探せ!』を思い浮かべる人も居るかもしれない。 今では高いビルや飛行機、ドローンの登場により上空から地上を眺めることも容易くなったが、もともと俯瞰は仮想上の視点である。このメタな視点を持つことによって、世界の営みを冷静に観察することができるだろう。

一方で画中に描かれる生々しい人物(アバター)に共感を覚えるならば、その視線を借りて描かれた世界に生きることも可能かもしれない。この俯瞰と同化を繰り返すことで、因幡の絵画世界はより豊かに、饒舌に語りはじめるのである。



WATOWA GALLERY






開催概要



タイトル:

因幡 都頼 SOLO EXHIBITION
" META - UNIVERSE / 目他 - ユニバース "

会期:
2022 年 11 月 4 日(金)〜13 日(日)12:00〜19:00

会場:
elephant STUDIO 1,2F(東京都渋谷区渋谷 2-7-4)

⼊場料:
観覧料 500円 (税込)〜

*11/9 ( 水 ) は観覧無料
*右記 URL からの事前予約制 https://artsticker.app/events/1781
*⾃⾝で⾦額を決定するドネーションシステム(ミニマム 500 円から⼊場 料を⾃⾝で決定し、それが若⼿ アーティスト⽀援のためのドネーショ ンとなるシステム。アーティスト⽀援と国内アートシーンの活性化を ⽬的としたアートアワード WATOWA ART AWARD 2022 EXHIBITION に 寄付されます。



October 16, 2022

大澤巴瑠 個展 " ⌘C + ⌘V " 開催

この度、アートプロジェクト集団『WATOWA GALLERY』は、2022年10⽉30⽇(⽇)より WATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO (東京都台東区今⼾1丁⽬2-10 3F)にて大澤巴瑠(おおさわはる)による個展 " ⌘C + ⌘V "(command CV)を開催いたします。

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「command CV」とは、PC上でイメージや⽂字情報をコピーアンドペーストする際のショートカットキーのこと。

「command C」はコピーを、「command V」はペーストを意味する。⼤澤は⾃⾝の制作スタイル、プロセスをこの⾔葉で表現し、本展のタイトルとした。

その創作プロセスはユニークで、コピー機で⾃⾝の描いたものをコピーし、あるいはコピー機に直接インクを垂らして⽣まれたイメージをコピーし、それを印刷⾊であるCMYKの4⾊を⽤いて⾁筆で模写(ペースト)するというものだ。地の⾊の銀箔は、コピー機でコピーする際の発光を表現している。

コピー機によるコピー、そしてさらに⾝体を介した模写という、⼆段階による複製⾏為が⾏われているわけだが、コピー機によるコピーが完全なる複製になるかと⾔えばそうではなく、意図しないズレが⽣じたり線が⼊ったりという「バグ」が起こる。そしてさらにそれを⾝体をもって描いているため、それは複製⾏為でありながら、決してまったく同じものとはなり得ない⼀回性をもった創造⾏為となる。

複製と⾔えば、ヴァルター・ベンヤミンが『複製技術時代の芸術作品』において、複製可能な芸術作品は時間的、空間的⼀回性、「いま」「ここ」にひとつしか存在しない作品にある「アウラ」が消失するとしたが、⼤澤の複製⾏為は、複製⾏為によってしか⽣じ得ないわずかな「バグ」や「ズレ」を際⽴たせることにより、作品に時間的、空間的⼀回性を持たせており、むしろ複製によって「アウラ」を⽣じさせていると⾔えるのかもしれない。

そう、⼤澤の作品は、複製でありながら複製でないというパラドックスを孕んでいるのだ。それは同時に、⼤量⽣産、⼤量消費というものに対して、あえて複製⾏為をもって対抗したアンチテーゼともとれる。

コピーアンドペースト「command CV」によってあらゆるイメージを簡単に複製できる時代に⽣まれた、⼤澤独⾃の「command CV」を、本展を通じてご覧いただきたい。



プロフィール


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⼤澤 巴瑠  Hal Osawa


1997年東京都⽣まれ、以前までの作品は⼀度描いたものをコピー機に通し、印刷したものを描くという作品を制作してきた。⼤量⽣産の象徴のコピー機。ここに⾃らバグを⽣じさせるという⾏為を⾏ってきた。ここから展開し、コピー機の露光を⾏うガラスの部分に直接インクを垂らし「描く」と「印刷」を同時に⾏った。これにより、引きずる⾏為そのものを可視化することが可能となり、⾝体と機械が分離していたところを⼀体化させた。
銀箔の下地により光を⽀持体にし、CMYKを⽤いることによりコピー機の印刷⼯程を⽰唆している。



主なグループ展

2017年  中央本線画廊 字と図展
2020年  Galerie Aube HOP 展2020
2021年  SkiiMa Gallery In between
2021年  ⻄武渋⾕ SHIBUYA STYLE vol.15
2022年  ARTDYNE 『はじまれり』
2022年  東京都美術館 KUA ANNUAL 2022「in Cm | ゴースト、迷宮、多元宇宙
2022年  代官⼭ヒルサイドテラス 「⼆次元派展」 【主な個展】
2022年  medel gallery shu 『ERROR』


■ 批評⽂:沓名美和

⼤澤巴瑠は他者とのコミュニケーションで起こる誤解や理解のズレを、複製という⾏為の不完全さから⽣じるイメージのズレに置き換え作品に落とし込んでいる。

その過程は⾮常にユニークで、デジタルで制作した原画をコピー機で複製し、さらにそれを⼿本とした複製画を⾁筆によって制作するというものだ。コピー機による印刷は対象物とそれを焼き付ける光、そして操作する⾏為者が三位⼀体となって⾏われるため偶発的な変化が⽣じやすく、厳密に⾔えばデジタルと同じものを複製することはできない。さらにそれをキャンバスに貼った銀箔とCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、墨)によって⾁筆で模写していくため、ますますオリジナルのデータから乖離したものが出来上がる。デジタルとアナログの複製を繰り返す事で、複製でありながら原画から徐々にズレていくその過程こそが⼤澤の着眼点であり、⼤量⽣産できる装置を使い唯⼀無⼆のものを作りだすことで 物の価値や意味を問いかけている。

⼤澤が原画の複製に使⽤するコピー機は、戦後のポップアートが批判した⼤量⽣産・⼤量消費を象徴するもののひとつであり、ペーパー レ スの進んだ現代においては過ぎた時代の象徴でもある。デジタル画像を瞬時にコピー&ペーストできる現代において、イメージや情報を複製することはますます容易くなったがその⼀⽅で、例えば単純な「ありがとう」という⽂字情報が発信者の意図と異なって伝達され、安易な複製によって拡散していくことも⽇常茶飯事だ。

⼤澤の描くモチーフには、iPhoneの絵⽂字やシンプル図形など⽇常で⽬にするとくに⼤きな意味を持たない「なんでもないもの」が恣意的に選ばれている。それが複製の過程で陰影やゆがみを与えられ変形していく過程は、意志のない偶然性(⼜は意志を持った⾏為)によ ってものの形が変化し、新たな意味性を与えられていく様⼦をありありと再現している。不⾃然に歪んだモチーフや引き延ばされたインクの形は原画とはかけ離れているものの、そこには妙な可笑しみや造形美があり、もはや複製ではなく唯⼀性を持った存在として変化していることに気づかされる。




開催概要



タイトル:

"大澤巴瑠 個展 " ⌘C + ⌘V ""

会期:
2022年10⽉30⽇(⽇)〜11⽉13⽇(⽇)12:00-19:00
※ 休館⽇│2022年11⽉1⽇(⽕)、11⽉8⽇(⽕)

会場:
WATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO
東京都台東区今⼾1丁⽬2-10 3F

⼊場料:
観覧料 500円 (税込)〜
*⾃⾝で⾦額を決定するドネーションシステム(ミニマム 500 円から⼊場 料を⾃⾝で決定し、それが若⼿ アーティスト⽀援のためのドネーショ ンとなるシステム。アーティスト⽀援と国内アートシーンの活性化を ⽬的としたアートアワード WATOWA ART AWARD 2022 EXHIBITION に 寄付されます。

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